2012年12月01日公開

[5金スペシャル]あの政権交代は何だったのか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第607回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(期限はありません)

ゲスト

1970年東京生まれ。93年東京大学文学部卒業。95年英オックスフォード大学哲学・政治コース卒業。米プリンストン大学大学院博士課程修了。政治学博士。専門は比較政治学、日本政治、政治思想。共著に『グローバルな規範/ローカルな政治:民主主義のゆくえ』、『ヤスクニとむきあう』など。

著書

1971年滋賀県生まれ。95年京都大学法学部卒業。同年三和総合研究所(現三菱UFJ&コンサルティング)入社。議員秘書を経て、00年衆院初当選。国対副委員長、党幹事長代理などを経て11年原発担当大臣、環境大臣。12年9月より現職。当選4回(静岡5区)。

自立生活サポートセンター・もやい代表
その他の放送 (5件)

1969年東京都生まれ。95年東京大学法学部卒業、03年同大学院を単位取得後退学。00年にホームレス支援の「自立生活サポートセンター・もやい」設立。08年12月「年越し派遣村」開設に参加。09年以降、雇用対策・困窮者支援政策関連の内閣参与を務め、12年辞任。著書に『反貧困—「すべり台社会」からの脱出』、『ヒーローを待っていても世界は変わらない』など。

著書

概要

 5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。総選挙公示直前の収録となった今回は、政治学者の中野晃一氏と民主党政策調査会長の細野豪志氏らをゲストに迎え、「あの政権交代は何だったのか」をテーマに3年前の政権交代の教訓とこれからの政治課題などについて議論した。
 まず、第一部は「なぜ政権交代は失敗したのか」をテーマに、海外の政治事情に詳しい政治学者の中野晃一さんに、ジャーナリストの神保哲生が話を訊いた。
 2009年総選挙での政権交代は、選挙によって有権者の意思が明確に示された結果の政権交代という意味で、日本の憲政史上においても画期的なできごとだった。しかし、海外の政治事情に詳しい中野氏は日本の政治体制が「自由民主主義」であることを指摘した上で、3年前の政権交代はそれまで自民党政権に固定化されてきた政治の「自由化」が進んだ結果ではあったが、十分な「民主化」が伴っていなかったのではないかと指摘する。憲政史上画期的なできごとが起きたにもかかわらず、政権交代の実現に喜んだ民衆が池に飛び込んだり、道端で一斉に車のクラクションを鳴らすようなシーンは終ぞ見られなかったからだ。
 そうしたことから中野氏は、3年前に民主党は300を超える圧倒的な議席を獲得したが、その背後にそれほど強い民意があったわけではない可能性が高いと分析する。それまで「おまかせ」してきた自民党的政治手法への不信感から、「ちょっと民主党にやらせてみるか」程度の感覚で民主党に票を入れてはみたが、短期間で目に見えた結果が出ないとわかると、民意は急速に民主党から離れていった。日本人の多くが自民党政権時代から続く「おまかせ民主主義」に馴れきってしまい、政権交代後も政治に対する「高みの見物気分」は変わらなかった。しかし、当の民主党は準備不足、力量不足、覚悟不足で、とてもではないが「おまかせ」に応えられる状態にはなかった。
 今さら言うまでもないことだが、政権党として実績を残せなかった民主党の認識の甘さは厳しく批判されて当然だ。おそらく選挙でも厳しい審判が下ることになるだろう。しかし、同時にわれわれ日本人は、自由民主主義の「自由」の部分だけでなく、「民主」の部分も引き受けていく覚悟をしなければならないのではないか。3年前の政権交代で政治の「自由化」が進んでしまった今、「おまかせ」が続く限り日本の政治は民意に裏付けられた安定的な状態を取り戻すことはできないのではないか。中野氏と考えた。
 続いて第二部では、民主党・政策調査会長の細野豪志氏を招き、社会学者の宮台真司も加わって、「政権交代失敗の教訓」をテーマに議論した。
 民主党に対する失望は個々の政策の失敗もさることながら、「民主党はどれだけ社会を知っているのか、リアリティと価値を知っているのか分からない」(宮台)という有権者の不信・不安に大きな根本原因があるのではないか。政権を託すにあたって、民主党を「大人」として見て良いのか、という戸惑い、裏を返せば、民主党はまだまだ「子ども」ではないのか、というあきらめである。
 この点について細野氏は自分たちに至らない点が多くあったことを認めた上で、「それでも民主党の必要性を訴えていく」と話す。その為に選挙後を見据えて、党の新たな理念の柱となる「新世代5綱」を党の若手メンバーの間でまとめたという。
 民主党は過去3年間を厳しく総括し、失敗を十分に反省した上で、今後に活かしていく準備ができているのか。細野氏に問うた。
 途中、湯浅誠氏(自立生活サポートセンター・もやい代表)、清水康之氏(自殺対策NPO・ライフリンク代表)の電話出演を交えながら、民主党の失敗の原因とその教訓を問い直し、政権の責任に正面から向き合う本物の政党が日本でも存在可能なのかを考えた。
 今週は5金(5回目の金曜日)に当たるため、特別番組を無料で放送します。ニュース・コメンタリーはお休みします。

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