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2019年7月27日
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参院選で示された「民意」の中身を検証する

小林良彰氏(慶應義塾大学法学部教授)
マル激トーク・オン・ディマンド 第955回(2019年7月27日)

 先の参院選は与党が改選議席の過半数を確保する一方で、いわゆる「改憲勢力」が、参院の3分の2を割り込んだことがニュースとしては取り上げられるくらいで、全体としては波乱の少ない選挙だった。やや話題性に欠けた感のある選挙にあって、山本太郎氏率いるれいわ新選組とNHKから国民を守る党の2党が政党要件を獲得したことが、とりわけ注目を集めた。

 安倍首相は選挙後の記者会見で、憲法改正を訴えて選挙に臨んだ与党が過半数の議席を得たことから、「国民は憲法改正について議論を行うべきとの審判を下した」との認識を示し、早くも憲法改正を選挙後の主要な政治課題に据える構えを見せている。

 日本の有権者はこの選挙でどのような民意を示したのだろうか。

 選挙直前に全国の有権者3,000人を対象に意識調査を行った慶應義塾大学の小林良彰教授によると、今回の選挙でも景気、年金、財政といった経済問題への関心は高かったものの、野党がこれを争点化することに失敗したため、経済問題は実際の投票行動に大きくは左右しなかった。むしろ日米関係、日韓関係などの外交問題や首相の指導力に対する評価が、大きな影響を与えたと指摘する。

 2,000万円問題で関心が集まった年金問題も、有権者の半数は現在の年金制度は旧民主党にも責任の一端があることを認識しており、有権者の投票行動には大きな影響を与えなかった。

 また、自民、公明、立憲、維新、共産各党の支持層はいずれも9割近くがもともとの支持政党に投票していることもわかった。今回はそもそも投票率が戦後2番目の低さで、しかも実際に投票に行った人はほとんどがもともとの支持政党に投票したため、大きなサプライズが起きにくかったのも当然のことだった。

 その一方で支持政党を持たない無党派層については、自民党が3割から支持を得たのに対し、立憲は2割強しか押さえられていなかった。もともと基礎票で負けている野党が、無党派層でも自民の後塵を拝することになれば、勝てなくて当然だった。

 また、この選挙では若い世代の自民党支持の傾向がより顕著になった。60代、70代では自民と立憲の支持率はかなり拮抗するが、10代~20代では自民52.2%に対して立憲は9.9%、30歳では自民57.6%に対して立憲は9.2%と、大きく開いていた。

 今回、有権者の投票行動に影響を与えたと見られる安倍政権の外交政策の中でも、とりわけ韓国に対する厳しい輸出規制が高く評価されていることもわかった。現在日本が行っている半導体製造材料の輸出規制に対しては、61.7%が賛成しているほか、ビザなし入国の制限や韓国製品への関税の増税など、より厳しい措置を支持する人も5割を超えていた。

 この選挙で示された民意とは何だったのかについて、小林氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

 
小林 良彰(こばやし よしあき)
慶應義塾大学法学部教授
1954年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同大学院法学研究科修士・博士課程単位取得退学。法学博士。ミシガン大学政治学部客員助教授、プリンストン大学国際問題研究所客員研究員などを経て91年より現職。著書に『政権交代 民主党政権とは何であったのか』、『選挙・投票行動-社会科学の理論とモデル』、編著に『子どもの幸福度』など。

 

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