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プーチンの暴走を止めるために何ができるかを考えた

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1094回)

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完全版視聴期間 あと41日19時間23分
公開日 2022年03月26日

ゲスト

元外交官、元駐ウズベキスタン大使

1947年東京都生まれ。70年東京大学教養学部卒業。同年外務省入省。ハーバード大学大学院ソ連研究センター、モスクワ大学文学部留学、外務省東欧課長、ボストン総領事、ロシア特命全権公使、駐ウズベキスタン大使兼タジキスタン大使などを経て退官。現在、東京大学客員教授、早稲田大学客員教授、東京財団上席研究員など。近著に『日本がウクライナになる日』、著書に『ロシア皆伝』、『米・中・ロシア虚像に怯えるな』、訳書に『ロシア新戦略-ユーラシアの大変動を読み解く』など。

著書

概要

 ロシアによるウクライナへの武力侵攻が続いている。

 武力によって他国の主権を侵し、多くの一般市民にまで多大な犠牲を強いる蛮行に、正当化の余地は一切ない。あらゆる国際法、人道法の違反であり、ロシア軍はただちにウクライナから撤退すべきであることは言うまでもない。

 しかし、一旦武力衝突が始まってしまった以上、一刻も早い停戦を実現し、和平への道を探らなければ、一般市民への被害は増え続ける一方だ。戦争を終わらせるために今、何が必要なのかを考え、それぞれの国がその実現のためにできることをやるしかない。

 今回のロシアによる武力侵攻は多くの専門家が予想し得なかった。なぜならば、武力行使によってロシアが得られるものは何もないと誰もが考えたからだ。プーチン大統領は誤ったインテリジェンスに基づき、短期間でウクライナ攻略が可能だと判断していたとの見方が有力なようだが、仮にロシアが一時的にウクライナの占領を実現したとしても、そこには国際社会から突きつけられる厳しい制裁が待っている。ロシアの国力の大幅な低下は避けられないだろうし、そのような状態でロシアがウクライナの軍事占領を長期間維持できるとも思えない。

 元外交官にして独自の視点からロシア情勢をウォッチし続けている河東哲夫氏は、今回プーチンには致命的な誤算がいくつもあったと指摘する。まずプーチンは、そもそもウクライナ軍にこれだけの反撃能力や戦闘能力があるとは考えていなかった。プーチンとしてはロシア軍が一気に首都キエフまで攻め入り、白旗を上げさせてゼレンスキー政権を転覆させた上で、ロシアにとって有利な条件で和平協定を結ぶところまでは容易に実現が可能と踏んでいたのだろうと河東氏は言う。クリミアの併合を容易に実現したことで、今回もそれほど難儀せずにウクライナを屈服させることができるとプーチンが見ていても不思議はなかった。その結果、仮にアメリカを始めとする西側諸国が経済制裁を科してきたとしても、短期決戦の軍事的勝利から得るものの方が、制裁などによって失うものよりも大きいと考えていたというのだ。

 しかし、2014年のクリミア併合の際は弱くてまったくロシア軍の相手にもならなかったウクライナ軍が、その後のアメリカなどからの軍事援助によって劇的に増強され、兵士の士気や規律もまったく別の軍隊のように強化されていた。ロシアは全陸上部隊の約半分にあたる20万もの兵員をウクライナ侵攻に注ぎ込みながら、予想外の苦戦を強いられ、方々で立ち往生しているというのが実情のようだ。しかも、ウクライナ軍を甘くみて複数のルートから同時に侵攻を開始したことで、兵力が分散し、兵站が伸びてしまったことも災いしたとの指摘がある。河東氏によると、既にロシア軍は戦車の15%を失うなど甚大な被害を受けており、ロシアの通常兵力の弱体化を世界に印象づける結果となっているという。ロシア軍は全軍で20人しかいない将軍のうち、既に5人をウクライナとの戦闘で失っているとの報道もある。

 またプーチンにとってもう一つの大きな誤算は、NATOの加盟国ではないウクライナへの侵攻の結果、国際社会がここまで連帯して大規模な制裁を科してくるとは予想していなかったことだと河東氏は言う。2008年のジョージアへの軍事侵攻や2014年のクリミア併合とウクライナ東部2州への軍事侵攻の際も、西側諸国はここまで厳しい制裁は科してこなかった。プーチンは制裁の規模や軍事侵攻に対する国際社会の嫌悪感の強さを、明らかに過小評価していた。

 要するに、数々の誤算が重なった結果、プーチンとしても引くに引けない状況に陥っているというのが実情のようなのだ。しかし、その間も戦闘が継続し、ウクライナ市民の被害は拡大の一途を辿っている。現時点で両国の和平交渉は、当初ロシア側が提示したとされる15条件が6つまで減らされ、そのうちの4つまでは既に合意の目途が立っているとの報道があるが、残る2条件というのが東部2州の独立国としての承認とクリミア併合の承認ということなので、これをウクライナが直ちに受け入れることも考えにくい。

 河東氏は和平への道のりは容易ではないことを指摘した上で、あり得るシナリオとしてゼレンスキー大統領が語った「国民投票による決着」は可能性としては無くはないと語る。東部2州の独立やクリミアの併合の是非を、直接国民に問うというのだ。しかし、侵攻によってこれだけの被害を被ったウクライナ国民が、国民投票でロシアの2条件の受け入れを容認することも考えにくい。結局、戦争が長期化・泥沼化し、制裁によってロシアが徐々に弱体化していく中で、どこかのタイミングでウクライナの占領を維持できなくなるか、もしくはプーチンがロシア国民やロシアの財閥や権力者たちから見切りをつけられ失脚するまで、ゲリラ戦が続くという最悪のシナリオも考えられる。そしてその間、ウクライナの市民の被害は増え続け、国土は焦土と化すことになる。

 1989年にベルリンの壁が崩壊した直後、アメリカのベーカー国務長官は当時のソビエト連邦の大統領だったゴルバチョフに、東西ドイツの統一を認めてくれれば、NATOは東方へは1インチたりとも拡張しないと語ったことが、その後公開された議事録などから明らかになっている。しかし、当時のブッシュ政権(父)で、特に保守派やネオコンと呼ばれる共和党の右派からベーカー発言は「ソ連の脅威を過小評価している」として問題視され、結局アメリカはその後、NATOを東方に拡大しないというベーカー発言を転換している。

 これはあくまでアメリカの政権内の意見対立の問題だが、ロシア側からすればそこでの口約束は反故にされ、その後NATOはロシアを脅威と位置づけた上で、東方拡大の一途を辿ることになる。1990年以降、統一ドイツはもとより、ポーランド、チェコなどが次々とNATOに加わり、2004年にはバルト三国やルーマニア、ブルガリアなどがNATOに加盟したことで、かつて共産圏に属していたすべての東欧諸国のNATO加盟が完了する。更にブッシュ大統領(子)が2008年には旧ソ連領の一部だったウクライナとジョージアの将来的なNATO加盟を認めると発言したことで、ロシアはいよいよ自国を敵視するアメリカ陣営が自国の国境まで迫ってくる脅威を感じるようになっていた。結果的にロシアはその後、ジョージアやクリミア半島へ相次いで侵攻するなどして反撃に出ることになる。

 結局、1990年にブッシュ政権内でロシア(1991年まではソ連)を包摂すべきか敵対すべきかをめぐる意見対立があったものの、最終的にはアメリカはロシアをあくまで脅威と見做し、これと敵対しながら弱体化させていくという、冷戦時代の囲い込み政策の継続を選択した。そして、実際にロシアは弱体化の一途を辿り、遂に壁際まで追い詰められた結果、ついに今回のような暴挙に出てしまったと見ることができる。

 無論、だからといって今回のロシアの軍事行動が正当化できるわけがない。しかし、ロシアの立場や今回の蛮行の背景を理解した上で、解決策を模索しない限り、和平の実現は困難だろう。

 今回はプーチンが無理筋の武力行使に踏み切った背景やプーチンが大いなる誤算に陥った理由などをロシア専門家の河東氏に聞いた上で、戦争を終わらせるためにどのようなシナリオがあり得るのかなどを、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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